2019/4/26
口腔内腫瘍は初期の場合、歯肉が少し腫れるだけであったりするので見過ごしてしまうことが多いです。動物の種類:犬
犬種・猫種:ミニチュア・ダックスフント
処置日:2019/04/26
この子は先日、歯肉の腫れを主訴に来院されました。
診察中に視診・触診をしたところ、歯周病および左下顎の腫瘍を疑いました。
そのため、歯周病の治療および歯肉腫瘤の病理検査を目的とした生検、顎骨のレントゲン撮影、リンパ節の針生検を行いました。
全体的に歯石が付着し、歯肉が腫れています。
奥は歯肉が後退し、歯槽骨が融解して歯根が露出しています。
左下顎の歯肉は腫れており、一部に潰瘍が出来ていました。
また触診で下顎骨の触知が出来ませんでした。
左上の奥歯に関しては重度歯周病により歯槽骨の重度融解が認められたため、抜歯し縫合しました。
左下顎はレントゲン検査を行ったところ、犬歯より尾側(後ろ)はほぼ完全に溶けて消失していました。
病理検査を行うため、歯を含めた歯肉腫瘤を採取しました。
また、リンパ節転移がないか確認のため左下顎リンパ節の針生検を行いました。
口腔内腫瘍は初期の場合、歯肉が少し腫れるだけであったりするので見過ごしてしまうことが多いです。
しかし、口腔内の悪性腫瘍は急激に進行することも多く、ご飯を食べないなど明らかな症状が出た頃にはかなり広範囲に浸潤していることがあります。
口腔内腫瘍は発生場所によっては初期であれば完治出来る可能性もあります。
初期の口腔内腫瘍を見逃さないためにも、歯肉が腫れているなど少しでも気になる事があれば一度動物病院で診察を受けるようにしましょう。