2019/4/15
硬いガム等は歯が折れる原因となるので控えましょう。動物の種類:犬
犬種・猫種:ウェルシュ・コーギー
処置日:2019/04/15
この子は小さい頃から歯磨きを丁寧にされていたため、歯石や歯肉の炎症はほとんどありませんでした。
しかし、口腔内を観察すると奥歯(青丸部)が僅かに欠けていました。
下の奥歯は一部重なっているため、歯周病になりやすいのですが、丁寧な歯磨きのおかげで綺麗な状態でした。
欠けていた部分(青丸)は精査したところエナメル質(歯の外側の部分)の一部が欠けているのみでした。
そのため抜歯や歯冠修復の必要はないと判断しました。
しかし、エナメル質が欠けていることによりザラザラして汚れが付着しやすくなっているため、丁寧に研磨をしてツルツルの状態にしました。
下側もごく僅かに付着していた歯垢・歯石除去後に研磨をしました。
青丸部は今回の主訴の右上の奥歯の破折です。
精査の結果、歯の中にある歯髄(血管や神経の通っている部位)が露出していました。
破折から時間が経っていたため、感染リスクがあったため抜歯と抜髄根幹治療を提示しました。
両方の利点と欠点を説明したところ、麻酔時間が短くてすむ抜歯を希望されました。
左同様、右下の歯も汚れはほぼ付いておらず、歯肉の状態も非常に綺麗でした。
抜歯後の状態です。
抜歯部のアップ写真です。
透明の溶ける糸で縫合しています。
右下の歯もごく僅かに付着していた汚れを取り、研磨して歯垢の再付着の予防を行いました。
中型犬は噛む力が強いため、硬いものを与えると歯が耐えきれす欠けてしまうことが多いです。
左上のように表層部のみの破折であれば無処置でも大丈夫なこともありますが、右上のように露髄してしまうと、露髄部から微生物が入り込み、全身に感染するリスクがあるため早急な処置が必要となります。
もし、お家のワンちゃんに硬いガムなどを与えているようであれば控えるようにしましょう。
また、歯が欠けてしまった場合は早急に動物病院で診察を受けるようにしてください。