犬の歯の病気

ワンちゃんがかかりやすい主な歯の病気を紹介します。

歯周病

歯周病とは

3歳以上の犬の約80%、7歳以上の犬ではほぼ100%が歯周病に罹患していると言われています。
初期の段階ではほとんど症状がないため、気付いた頃には進行していることが多い病気です。
食欲不振や出血などの症状が出てきたときは、すでに重篤の場合が少なくありません。
歯周病を放置すると、歯の周囲の骨が溶け、歯を失う可能性が高いです。
重度の歯周病では目の下に膿が溜まって腫れたり、皮膚が裂けて膿が出たり、顎が折れることもあるので、早期に診断・治療することが重要です。

歯周病は、歯周組織(歯を支えている骨や歯肉)の病気です。
歯を家に例えると、地面が歯周組織です。
歯周病とは地面がぬかるんだ状態になることです。
たとえ家がしっかりしていても、地面がぬかるんでいては、家は倒壊してしまいます。
同様に、歯周病では、歯を支える歯槽骨が溶けていき、最終的には歯が抜けてしまいます。

歯垢が石灰化すると歯石になります。(※歯石は歯みがきでは除去することができません。)
歯石が付着すると歯垢が更に付着しやすくなり、歯垢中の歯周病菌により炎症がおきます。
炎症で歯肉が腫れると歯と歯肉の間に隙間(歯周ポケット)ができます。
この炎症が奥深くまで進むと、歯を支える歯根膜や歯槽骨が破壊されてしまい、放っておくと最終的に歯が抜けてしまいます。

症状

次の項目にあてはまるものはありませんか?一度チェックしてみましょう。
  • ・ブラッシングすると血が出る
  • ・歯ぐきが赤く腫れている
  • ・硬いものを食べなくなった
  • ・歯を押すとグラつく
  • ・口臭がする
  • ・歯茎から膿が出ている
これらの中で一つでも当てはまる項目がある場合、歯周病の可能性が高いです。
早期の検査・治療が必要です。

治療方法

スケーリング
超音波を利用した機械により歯石を除去します。
ブラッシングでは除去できない汚れをきれいに取り除きます。口臭の改善が期待できます。
ルートプレーニング
ルートプレーニングとは、歯周ポケット内の歯根面の汚れなどを除去して、歯根面を滑らかにすることです。
GBR法:骨組織誘導再生法
GTR法と同じく、歯槽骨が再生するスペースを作る方法のひとつです。歯槽骨再生のスペースに、移植骨や骨代替材などを充填することにより、骨の強度や密度を向上することができます。
エムドゲイン法
エムドゲイン法は、歯周ポケットを綺麗にした後、エムドゲインゲルを注入して歯周組織を再生させる治療法です。
エムドゲインは、ヒト医療では世界中に普及しており、感染症などの報告がなく、安全で治療効果が高いとされています。
レーザーを使った歯周病治療
当院では、炭酸ガスレーザーを使った歯周病治療も行っています。レーザーで歯周ポケット内を殺菌することにより、歯肉の腫れや痛み、出血を抑えることができます。

乳歯遺残

乳歯遺残とは

乳歯遺残とは永久歯が生えはじめているのに、乳歯が存在している状態のことです。
乳歯遺残を放置すると、不正咬合(咬み合わせが悪い状態)になる可能性が高いです。
不正咬合になると歯周病になりやすくなったり、歯肉や上顎に歯が当たって損傷する可能性があります。
早期であれば、乳歯抜歯をするだけで不正咬合を防げる可能性があるため、歯の生え変わり時期(3〜7ヵ月)に歯科検診をすることが重要です。

治療方法

乳歯抜歯
乳歯を抜歯します。
永久歯が変な方向に傾いている場合には、永久歯の矯正治療も行うことがあります。

破折

破折とは

破折とは歯が折れることです。
交通事故や顔面への打撃、硬いガムや蹄などを噛むことにより生じます。
上顎第4前臼歯(上の一番大きな奥歯)や犬歯に見られることが多いです。
歯髄(神経や血管の通り道)が露出したまま放置すると、そこから細菌やウイルスが入り込んでしまいます。
早期治療が必要です。

治療方法

抜歯
折れてしまった歯を抜きます。
保存修復、歯内療法
歯の神経を抜いて詰め物をしたり、被せ物をします。
処置後はX線検査などの定期的な検診が必要となります。
歯の状態によっては抜歯が必要となります。

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